智神・タキーシャの観察日記

〇月×日
いつものように、世凪の部屋から、目覚めた柚巴ちゃんが出てきた。
だけど、寝起きのいい柚巴ちゃんにしては、気だるそうだった。
それを見つけて声をかけようとして、はっと息をのんだ。
だって、柚巴ちゃんってば……。
昨日までとはまったく違い、妙に色気のある雰囲気をかもしだしていたから。
もちろん、使い魔たちだって、柚巴ちゃんのそのいきなりの変化に戸惑っていた。
同時に目をすわらせていた。
それはもう、誰が見たって容易にわかること。

――あの男、とうとうやりやがったっ。

殺意が芽生えた瞬間だった。


〇月×日
今頃になって、シュテファンから矢を一本くすねたことがばれてしまった。
同時に、頭に一つ、たんこぶを頂戴してしまった。
あまりにもムカつ……悲しいので、ここはやっぱり、愛の女神・ラヴィに慰めてもらおう。
そう思って彼女を訪ねた瞬間、地面に埋められていた。
――そうだった。彼女は、極度の男嫌いで、とっても女好きだった。


〇月×日
暇つぶしにからかって遊んでやろうと、久しぶりに虎紅を訪ねてみた。
すると彼は、静かに怒っていた。
般若の形相で。
「このくそ忙しい時に、よりにもよって……」
そして、そんなことをぶつぶつと呪文のように唱えていた。
――どうやら、芽里のおめでた≠ェ発覚したということらしい。
ふーん。近頃、よく緋鷹のもとを訪ねていると思ったら、そういうことだったのか。


〇月×日
やっぱり暇なので、今度は莱牙や華久夜をからかって遊んでやろうと訪ねたら、何故だか、そこに莱牙はいなくて虎紅がいた。
虎紅は、華久夜の乱行に、妙に優しい微笑みを浮かべていた。
さらには、愛しそうに抱き寄せたりして……。
華久夜も、まったく抵抗しようとしていなくて……。
――浮いた話がない男だと思ったら、あの男はそういう趣味≠セったのか。


○月×日
相変わらず暇だったので、一般人でもからかって遊んでやろうと城下へ行った。
するとそこで、女の子たちに群がられる莱牙を見つけた。
近頃、人気がすこぶるいいようだから、この上なくおもしろくない。
……と思っていたら、やっぱりいたようで、紗霧羅が、女の子たちを引きはがす手助けをはじめた。
以前の彼女なら、楽しそうに見学を決め込んでいるところなのに。

――あやしい。


〇月×日
この観察日記を、シュテファンに見られてしまった。
そして、彼がつぶやいた一言。
「イロモノ日記」
――失敬なっ。
まったく、この高尚な趣味がわからないなんて、シュテファンもまだまだだね。



 ――多分、きっと、恐らく……彼は、智神=c…のはず。


智神・タキーシャの観察日記 おわり

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update:06/12/06