誰かを犠牲にしなければ守れない神様なんていらない。
 誰かを犠牲にしなければ得られない幸せなんてほしくない。

 青と緑と、そして白の中、美しい色とりどりの花々が咲くその国。
 まるで不思議の国へ迷いこんだようだった。
 そこに、あのマリオネットがいた。
 どこか悲しくあきらめたように微笑む、あのマリオネットが。
 そうして、おとぎ話ははじまる。

 怖くて、苦しくて、逃げられなくて、思わず涙が出た。
 手さぐりで、救いを求めた。
 どうにもならないとわかっていたはずなのに。
 だけど、どうにかしたいとも願わずにはいられなかった。
 せめて、あの人の心だけでも、救ってほしい。
 あなたがいるこの国で、わたしは一体、何ができるだろう?

 ずっと一緒にと、そう願ったけれど……。
 逝く時は一緒と、そう望んだけれど……。
 あなた一人を犠牲になどしたくないと、そう精一杯叫んだけれど……。
 あなたは、それを決して許してはくれなかった。
 それでも、ゆずれない。この心だけは。

 自らの意志で、力で、操り糸を解き放ったマリオネットを、わたしは知っている。


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update:07/01/15